2017年8月3日掲載

現実問題に苦悩するビルマ

—民主化をすすめるために—

 ビルマのインド国境付近にロヒンギャという少数民族がいます。100万人といわれます。英国支配の頃の移住者の子孫といわれています。ビルマ国籍を求めていますが、承認されずにきました。身分証がないので国内も移動できません。

 さらに他の部族と衝突して、国内の避難民キャンプに隔離されています。

 またこのロヒンギャ族はイスラム教徒なので仏教徒の多いビルマでは迫害されています。国連は特別報告者を派遣し、調査していました。昨年10月の国境警備隊襲撃事件から一層政権と険悪な状態となり、国連人権高等弁務官事務所がロヒンギャの被害を非難し、現地調査団を送る決議をしました。

—国軍の力との駆け引き—

 これを政府、スー・チー氏は拒否。身分証の発行などを強調して妥協案としました。日本から見るビルマ政府は、ノーベル平和賞のスー・チー氏の主導する政府はもっと少数民族に理解があるように思っています。しかし現実は国会の25%は軍人が無選挙で議員になれる旧憲法のままです。

 ここに気を使わなければなりません。民主化と対極にある軍隊を懐柔していく国家運営と政府、スー・チー氏は闘っています。

—少しでも問題解決の道を—

 軍隊を市民・政治家が支配する文民統制ができず、少数民族の人権擁護を可能とできなければ、すなわち国民問題を解決できなければ、スー・チー氏の政治力の現実性が不信を買うことになります。国内経済が順調であるだけに国際的な信頼を得るためにも軍隊と人権の問題は確実に実らせなければなりません。それにはスー・チー氏の直接関与に先立つ調整を国民民主連盟の指導ですすめることです。

2017年8月2日 記