2017年9月28日掲載

お笑い社会の総選挙

—芸人社会と政治の世界—

 かつて幸田露伴は風俗と一般社会の混合を心配していました。隔離しておくべきだというのです。一般社会が影響を受けるというのです。

 いま安倍自民党、前原民進党、小池希望の党の総選挙への対応はまさに政治の理念も公職の誇りもありません。その場だけの相手を求めて驚かせ、注目させ、気を引いて票にして、落選しないという振る舞いだけです。

 かつての首相であった吉田茂、岸信介、佐藤栄作、中曽根康弘、宮沢喜一という人には政治を預かる者の謙虚さがありました。

 しかし、小泉純一郎、安倍晋三という人間には大向うの反応を気にする芸人の性根を見ます。体質が変ったとしか思えません。それとも社会がお笑いという不真面目な風潮に支配されてきた結果、真摯に政治に対応する空気がなくなったせいでしょうか。ここにきて一連の政治家にまつわる醜聞はお笑い芸人の所作そのものです。驚かして、気を引いて、考えさせずに反応させることで完結します。安倍首相の突然の解散表明、小池都知事の代表就任、前原民進党の動揺など本当に国民や世界と自分がつながっている意識があるのか疑問です。お笑い芸人社会は、政治家の行動にまで影響を与え始めています。

 やはり幸田露伴の先見は優れたものであると再認識します。

2017年9月26日 記