2024年6月26日掲載

都知事選挙で考える。

 選挙は人選びである。候補者は精一杯の工夫をして、自分をよく見せようと演技する。小池氏のように、学歴問題になるほどに自分を飾り立てようとするのが候補者心理である。女性に時代の都知事ということで女性の出馬がもてはやされる。未来を語れると言って若い候補が注目される。すべてが、表面的で政治の本質とは関係ない要素である。韓国などでは候補者は整形手術をするという。テレビなどの情報機関を意識した見せかけ候補を作り出そうという風潮である。

—表面に惑わされない人選び—

 掲示板のポスターを見てもその候補の政治主張は分からない。美醜、好悪という表面上の属性だけである。しかしこの属性にとらわれるのが、敢えて言う大衆である。オルテガの「大衆の反逆」の言う通り、我々は進歩、進化しにくい生き物なのである。進歩、進化のために教育があり教養があるのだが、われわれはその訓練を求めることもなく楽に生きてきた。候補者の表面の皮を破って内面にまで入り込む努力をしなければ、有権者とは言えない。

 普通選挙を戦い取った先人はこの表面だけの候補者選びの選挙を良しとはしないはずだ。

 性差別、階級差別を不条理として否定して闘いとった選挙権がこんな軽いものであると知ったら、どれほど残念がったり、怒ったりするだろうか。いま生きるわれわれはこんな都知事選挙から反省しなければならない。そしてあらゆる選挙に候補者の表面だけを見て投票することを辞める覚悟を持つべきだ。手保持目に人間を選ぶという貴い行為が選挙であるという当たり前の考えから始めたい。

2024年6月24日 記