2019年1月16日掲載

65才以上の5人に1人が認知症の時代に

—2025年に推計67万人。厚労省の数字—

 まだ認知症の徴候のない人は、深酒をして記憶がおぼろげな状況を考えたら疑似体験できるのではないか。自分が自分でないということだ。年の多少に関わらず、誰もが持つ不安である。北区でも認知症対策を重点とするべきである。都内有数の高齢自治体であるからだ。高速道路の逆走、JRの電車通行妨害などの弁償の額は天文学的になる。認知症対策は個人では対応できない。

—神戸モデルとは?—

 今年4月から兵庫県神戸市は全国初の認知症対策を発足させる。その概要はこうである。

 2段階にわかれる。

  1. 1、早期受診の促進。65才以上の市民が自己負担なしで検診、精密検査が受けられる。認知症と診断されると市負担で最高2億円の賠償責任保険に加入する。
  2. 2、認知症の人の起した事故(自動車事故は除外)や火災など市民に被害があった時、加害者側の賠償責任がなくても最高3千万円が支給される。賠償責任が認められ、賠償責任保険に入っていると、最高2億円の賠償金が支払われる。コールセンターが24時間対応する。

 保険料など約3億円と予想される負担は市民税に1人年間400円の負担増でまかなうとされています。昨年12月の本会議で「認知症の人にやさしいまちづくり条例」の改定案が可決されている。いま人口150万人の自治体の対応が全国から注視されている。

—北区でも検討するべき—

 北区の高齢化の程度は区民誰もが承知のことです。本人はもとより家族も不安に思っている認知症対策は根本的には医療対応がなければならない。しかしその目途が立たない現時点では、検診と保険賠償の手段で時間を稼ぐしかない。いまでも関係する人人の真剣な日日が続いているのである。

 地方税の増額についても住民の賛否を堂堂と問いかける行政の姿勢が、現実の認知症に立ち向かう自治体、北区の高齢者対策そのものである。

2019年1月9日 記