2025年4月5日掲載
あるビルマの軍事政権下の地震情報の杜撰さと政府転覆の好機
3月28日に発生した死者は、2700人を超えたと4月1日には軍事政権は言っている。これは信じられない数字である。何度かヤンゴン、マンダレーに行ってみた経験と、今回の報道で見たテレビに映った、破壊された町の状況を見てとても3000人程度の被害では終わらないと思った。もともと木造家屋が多い地方とヤンゴンなどの近代化された町では被害が異なることは当然である。しかし倒壊したビルの多さなどを画面で見ると、下敷きになって救助が出来ずにいる人々は想像以上に多いと言わざるを得ない。
ここでビルマの政治体制が問題となる。民主化政府との間の戦闘が続いている中で、軍事政権は被害を過少に発表してはいないか、ということだ。軍事政権の手際の悪さを隠すために死者、被害戸数の過少報告をしていると疑わざるを得ない。医療、福祉などわが国では当然とされる対応が、まったく取られていない北朝鮮、中国などのように独裁国家では当然のことだ。非常時にはまずそれを利用して国家転覆をはかる勢力への警戒、そのために国民統制がある。命の元である医療などは配慮されない。ましてスー・チーさんの消息などは無視されている。想像したくない被害想定であるが、死者は1万人以上ではないかと思う。ビルの下敷きになっている人々を救う重機が全く不足しており、救護の手が及ばないからだ。災害対策が軍事に優先するという分かりやすい教訓が今回の教訓であるはずである。
軍事政権のミン・アウン・フライン大統領はアジア諸国の会議に就任以来、初めて主席するという。それは災害復興に手を貸して欲しいからという、自分勝手な理由からである。民主主義を実現するための絶好の機会は、今である。軍事政権の国民無視の姿勢を批判して政府を転覆させる機会ということだ。
2025年4月3日 記