2021年1月12日掲載
新年を迎えて気になることがある
昨年の暮れ、赤羽駅西口に土、日に長い時間いる機会があった。コロナ騒ぎを気に留めないのか、人出はそれほど減っていなかった。
そんな中で見た光景が気になっている。赤羽駅北口の改札口を出てアピレとイトーヨーカドーの方に来る人の流れは多い。幅は20mほどの通路である。その人の導線が真っすぐアピレに行くのと右にいって、イトーヨーカドーに行くYの字の真ん中に公孫樹がある。それの周りに幕を張って、「国境なき医師団」が宣伝活動を行っていた。その結果、自転車、子供を乗せた自転車、車いす、盲導犬を帯同する人、つえを突く人、白杖の人、子どもづれの人などが右往左往する分岐点に陣取ることとなった。
確かに宣伝効果は良いであろう。人が行き来する交差点であるから。「国境なき医師団」を宣伝する2,3人の若者が勧誘するように通行人に声をかける。ほとんどの人は避けるように速足で過ぎる。すると後ろから来た人や、前から来る人と接触しそうになる。たまたま話を聞く人が出て、立ち話をしても人の流れに変化を与える。たとえコロナ事情の中で、人出は少なめであるとはいってもボトルネックの場所だけに混雑する。これまで私がこの団体に対して持っていた印象では、一見そんな自分本位と思われる宣伝活動を行う団体とは思えないので驚いた。
私は何日か目撃したので、思い余ってその若者の一人に声をかけた。「あなた方は宣伝をして、理解を得、寄付をつのり資金協力も得られるかもしれない。だが通行人の迷惑はどうなるのだろう、場所を移すべきではないのか」と言った。それでも暮れの間の土、日は同じ場所で行われていた。年が変わって同じ場所で活動は行われるのだろうか。巷の小さな出来事かもしれないが、「国境なき医師団」の私の受けるイメージとはかけ離れた行為だけに、あえて記した。かつて作家の井上やすしさんは、中村哲さんを支えるペシャワール会の活動は、経費ゼロで資金はすべて中村さんの活動に費やされるといっていた。なぜなら活動家はすべて無給のボランティアであるからだという。赤羽駅西口の、「あの国境なき医師団」の若者たちは、人の流れをふさいでいるだけでなく、ボランティアでペシャワール会の例をなぞっているのだろうか。あれこれ考えさせられた。
2021年1月11日 記