2025年7月22日掲載
いまさらながらの「生理」
7月11日の日本経済新聞夕刊で、改めて女性の生理について啓蒙されました。啓蒙などとはおおげさというかもしれませんが。
作家の九段理恵さんの随筆です。タイトルは「生きる理」というのです。理は「ことわり」と読むのです。冒頭で生理とするか、月経とするか悩んだというが、生理で綴っています。自らのペンネームの九段理江を使う前は、藤生理江という名で活動していたそうです。藤生理江で小説の最終候補に残ったのですが、結局落ちたのです。後になって、賞の選考委員から、間接的に名前に「生理」が入っているのが良くないと苦言を呈されたそうです。落選の理由を取り除くために名前を変えたというのです。彼女は十三歳から月に一度やってくる身体現象が精神・生活に影響を与えていることを受け止めながら、「隠すことでもなんでもないのだ」と、「おい文句あるかかかってこいよ」と攻撃的になると言います。
私がこの随筆を読んで思うことは二つあります。一つは選考委員の幼稚な驚くべき人間観です。日本の文学賞でこのような選考委員をおいている組織があるとは信じられないことです。ぜひとも文学賞の名を公表して欲しい。もうひとつは九段さんの勇気です。あまり一般紙には書かれない女性と生理という必然の現象を公表するなかで、たぶん男性選考委員への批判をそれとなく指摘する知恵者ぶりに拍手を送りたい。
2025年7月14日 記