2026年8月7日掲載

終戦記念日の天皇のお言葉と政治の反平和姿勢

 昭和19年、1944年に生まれた私は、終戦の年から1を引くと年齢になる。母方の実家のある山梨県に疎開し、小学校1年1学期の途中までいた。私はお腹がすいて、セミを食べたと兄はいう。戦後の食糧危機の混乱は身に染みている。それから七十数年、今年の天皇のお言葉はいつになく考えさせられた。

 全文380文字の中に「深い悲しみ」、「深い反省」と二度にわたって「深い」が使われていた。毎年、天皇のお言葉を読んでいるが、このような措辞の使用はなかった。歴代天皇もなかった。世界情勢はもとより、我が国の最近の政治の動きにも、配慮されたのかもしれない。

 高市内閣の武器輸出の解禁などは、戦争への一歩だと思う。8月15日は終戦記念日であると同時に、憲法を世界に広げる誓いの日でもある。

 わたしの研究しているC.E.メリアムは「メリアムの教育」のなかで、「ジャングルの政治すなわち現実政治は、彼の理想とする実験室の政治に変わらなければならない」といっている。国民主権、平和主義等をうたう現憲法を国民生活に生かし、さらに国際的に普及、広げることと、メリアムの実験室の政治に力を与えることは等価値なのである。

 4代に渡るアメリカ大統領に影響を与えたメリアムは、シカゴ大学の教授でもあった。理論と現実、学問と政治を融合させようとする思想家でもあったのだ。

 高市総理の式辞には、石破総理が取り入れた「反省」の文字は消えた。高市総理は日本をもう一度あらゆる意味で強い国家にするために、当面、武器輸出の実現から手を付けた。小泉防衛大臣とも歩調を合わせて、天皇の「深い悲しみ」、「深い反省」をよそに、国際的にも、戦争に近づける路線を踏み始めている。

 このことを国民は自覚する必要がある。高市総理の自民党とそれを補完する野党は、世界に広がりつつある好戦の雰囲気に染まりつつあるといえよう。

2026年8月16日 記