2017年5月10日掲載

思考の固定化

—画一社会の恐れ—

 このごろ耳について離れない言葉があります。

 それは「立ち上げる」です。事故があったり、いじめがあったりすると調査委員会を「立ち上げ」ます。

 意味するところは設立、設置、準備をすることです。

 それらをまとめて「立ち上げる」で表現するものですから、何かというと「立ち上げる」となります。流行というのでしょうか。それにふさわしい言葉があるのですからそれを用いるべきです。意味を分別しなければ、分ったようで分っていない表現となり、感覚が社会を左右することになります。分別しなくなると画一化することとなり、いわゆるポピュリズム(大衆迎合主義)にもつながります。

 かつての「問答無用」の風潮となります。言葉から意識ができあがります。

 「立ち上げる」の多用は私たちの社会を単純化して、個性や自由を奪うことになりはしないか心配します。

2017年5月8日 記