2020年3月7日掲載

群集心理と輿論

 マスク騒動がまだ収まらない。この欄で4月にコロナウイルスにはマスクは絶対の予防手段ではない、と指摘しておいた。3月になってwho(だれか)がかマスクの効果に疑問を示した。ところがいまだにマスクは品不足という。買い占めたり、高く転売したりと心理不安を呈している。かつての原発事故、台風災害から何も学んでいないことがわかる。ほんの10日、2週間待てば平常に戻る。それまでの我慢、辛抱が出来ない群衆がいるのだ。話題の料理屋には1時間並べても。

 わたしは世論と輿論を使い分けてきた。ほんの10日間を静観できる人は輿論と世論を区別できる人といえる。静観できない人は世論を形成する群集の一人に埋没することになる。過去の経験や歴史から学ぶ、あるいは類推する知恵をもつ人は輿論の形成者となるのだ。世論は目先の感情にもとづく意見になりやすい。輿論は冷静な意見を育てる。

 今私たちは、世論と輿論の訓練を受けていると思う。世論は政治に利用され、世論は政治を利用する。成長する賢い人間でありたいものだ。

2020年3月4日 記