2021年10月14日掲載

財務局 矢野事務次官の文春記事を支持する

 今月の『文芸春秋』の矢野さんの論文は、当たり前のことを書いているだけだ。コロナ対策と言えば、財政的に無理な相談でも許される雰囲気がある現在、矢野さんの指摘は正しい。お金を配ることが当たり前になり、選挙が始まるので「リップ・サーヴィスもあり」という気軽さである。家計の赤字は気にするが、国の赤字は遠過ぎて実感がなく、無責任になる。

 出と入りを均衡にするように、という矢野さんの主張は説得力がある。もらうものは歓迎、出すのは反対という大衆意識はいつの世にも力を持つものだ。この大衆意識から抜け出すことは至難の業である。まず自分が楽をするよりも、他人のために奉仕したいという気持ちにならないと社会は変わらない。

 矢野さんの言うことは、自分の利益を離れて国民全体を考えませんかという提案と受け取りたい。打ち出の小槌はないのです。無責任な財政負担をもたらす、公約はますます政治不信、を起こすだけだ。選挙になっただけに耳触りの良い甘言には要注意だ。

2021年10月13日 記