2015年9月30日掲載

芸術の秋に本阿弥派・光派を考える(1)

—琳派の前にあるもの—

 京都の鷹峯に徳川家康から土地をもらって、自分好みの村をつくった本阿弥光悦という刀剣鑑定家、書家、陶芸家、絵師がいます。多芸であるがゆえに、正しく理解されないところがあります。しかし彼がつくった村を中心に、のちに有名となる俵屋宗達、尾形光琳、乾山兄弟、江戸末期の酒井抱一などの絵師が続きます。

 とりわけ光琳の琳をとって琳派が名乗られるようになっています。しかし源は光悦ですので、私は光派と呼びたいと思います。

 決して間違いではありません。今年は光派ができて2400年ということで、京都でも東京でも展覧会が開かれています。東京では10月25日まで山種美術館で『琳派と秋の彩り』として開催中です。学芸員講座でも琳派か光派が日本絵画史の先生に光琳派を訊ねましたが、そのような意見の学者もいる、ということでした。

 これから数回、本阿弥光悦ととその周囲について記してまいります。

 学芸員講座を受けて少しは芸術的な視方ができるようになったか、と思いますが、次回から進めてまいります。

2015年9月23日 記