2017年12月9日掲載

『本阿弥行状記』を翻訳して

 12月15日から本屋さんで、それ以前に電子書籍で売り出されるということです。

 これまでに何回か出版してみて、公にした後は私の手を離れ読者に委ねられたのですから沈黙するだけと思ってきました。今回も同じです。芸術の世界—本阿弥光悦とその一族も入りますが—受ける側の評価は百人百色です。しかし、おそろしいことに肩書のある人、宣伝力のあるところが唱えると、異論は消されてしまいます。本でも触れました。上巻・中巻・下巻とあるのに上巻だけで「行状記」と銘打って買わせる学者、評論家は誠実ではありません。書いている方は評価をあてにしているわけではありません。後世の人間が史実に合うか合わないかを勝手に当てはめているだけです。そんな専門家を気取る人人に反発して、世に出しました。あとは一人いや一冊で歩き出して、四百年ぶりの世間の風にあたってきなさい、行状記よ。

ー光悦寺への挨拶ー

 12月4日、「行状記」で写真提供などの絶大な御協力をいただいた光悦寺にお礼に参じます。京都北洛は、いま紅葉は済んだかもしれません。光悦さんの墓参をし、鷹ヶ峰の空気を吸って一仕事終わらせた区切りをつけてこようと思っています。

2017年12月5日 記