2026年11月5日掲載
十一月の俳句鑑賞
今月の名句
白雲と 冬木と終に かかわらず
高浜虚子
解釈
晴れた見通しの良い小山の上。冬の弱い風の中、真っ青の晴れた空に小さな雲がゆっくりと動いている。はるか先の山上には太い古木が枝を張っている。
時間をかけて見ていると、松と雲が触れ合うように見えた。残念ながらついに重なることは無く、雲はかなたに流れ去った。遠近の風景と動きのある句である。虚子は両者が触れ合うのを半ば期待したのであろう。
批評
虚子は雲と木が重なると思ったくらいに風景に没入していた。雲の動きで木(松)と重なると錯覚したのだが流れすぎていった。ホッとしたようにも思える。
この臨場感が生まれたのは雲と木(松)の重なる瞬間までも目を凝らしている虚子がいたからである。虚子も心情と風景を取り合わせた句を作っていた。
2026年11月1日 記
