2023年9月23日掲載

林真理子日大理事長の改革の取り組みは安易にすぎないか

 日本大学の不適合な運営を、同窓生としての義侠心で自ら改革に乗り出したはずの小説家、林真理子理事長は今どのような気持ちなのだろう。スポーツ部員の大麻事件が起きて、その情報がすぐさま彼女に伝わらず時間差があったりして、見当違いなコメントを出したり、理事長としての立場が学内で尊重されていないことが判明した。そもそも個人作業の作家と約8万人の学生を管理し同じく7千人近くの職員を有する、日本で一番大規模な大学の理事長を掛け持ちできるとは常識では考えられない。名前だけの理事長ならともかく、醜聞が続いてきた大学の立て直しである。時間もエネルギーもかけなければならないだろう。今までのところどのような改革がなされようとしているのか。学生、職員は理事長の改革案を期待しているのに黙して語らずの体である。

—個人の意欲では解決が困難—

 日大を立て直すのは、名のある小説家というだけでは立ちいかない事業なのではないか。一人の小説家の母校愛だけで、氷解できるような事件ではない。日大の改革は、その長い伝統と校風を相手とするものであるから、したたかな政治力と強い意思を持つ人間が取り組むべき仕事である。組織を知らず個人事業の作家の好奇心で取り組めるテーマではない。

 いま大学の暦では来年の新入生の募集の最終時点である。躊躇する時間はない。このままいたずらに時間が過ぎていくことを見送ることが、理事長の仕事ではあるまい。

2023年9月20日 記