2023年10月24日掲載

プロ野球のセ・パの代表決定、
クライマックス・シリーズに疑問

 もし42.195㎞を全力で走ってきて、1位になったとして、更に1km先までゴールを延ばされたらどうだろう。1位すなわち優勝である。それが消えてもう一度やり直し、となる。1位のチームにとって、こんな残酷な仕組みはない。各リーグでの2位、3位はもう一度1位になる機会が与えられる。もう一度のチャンスとは聞こえがいいが、敗者復活である。勝負としてプロ野球をみたら、かつての方法が、日本人に馴染んできた真剣勝負、一回きりの勝負に向いていた。現在の方法が良いと思っているのは、まず興行として捉えている球団であり、マスコミであり、2位、3位で終わったチームとそのファンである。それぞれに金が入り、広告代が入り満足できる、優勝の機会があるからである。

―選手たちの声は生かされているのか―

 問題はそこに選手たちがいないことである。彼らはこの制度を歓迎しているのだろうか。テープを切ってゴールしたつもりが、もう少し走れというわけである。積み重なる疲労はないのだろうか。選手会があり、労働組合もあるはずである。プロは金が全てと割り切る向きもあろう。だが幼、少年に人気あるプロ野球である。教育的な側面も大切である。選手も労働者である。選手寿命も考える必要があろう。全エネルギーを投入した選手、チームの姿こそが、スポーツのさわやかさであり、それがやるスポーツ、見るスポーツの共通した醍醐味である。金儲けの匂いぷんぷんの二番煎じのお茶を出されて喜ぶ、プロ野球ファンだけではない。一発勝負のプロ野球に戻すべきである。何よりも選手たちの健康のために。

2023年10月17日 記