2025年8月18日掲載

サッチャーイムズの反省をわが国でも

 かつてイギリスの保守党の首相であったサッチャーを記憶されていると思う。鉄の女性首相と言われた女傑である。世界に先んじて社会経済体制を、公より個人を優先させる、いわゆる新自由主義の国づくりを先駆けた。

 それまで国、地方団体が行っていた行政を民営にする方針をとったのである。1989年、今から36年前である。この間にイギリスはどう変わったのか。水道は株主への配当が優先され、経営危機に。下水道はテムズ川の水質の悪化で悪臭。ほかの業種も行きづまっている。たとえば、昨年、2024年に政権に復帰した保守党は一億ポンドの国費を投入して、鉄道路線の一部を国有化にもどした。鉄鋼業は中国の親会社の閉鎖を止めた。サッチャーイズムを転換して国、地方の関与を主張している。国民も望んでいる。24年の世論調査で公営にすることを望んでいる人は、水道が82%、鉄道が76%、エネルギーが71%であった。官より民が効率的というのは一概に言えない、ということだ。

 政治が公の仕事である以上、程度はともかく公が、税金を使って関与する当然の役割を果たすべきということである。わたしの身近でも公立学校の給食の民営化などは、教育行政の地域との関係から復活すべきと思う。

 小泉政権の竹中平蔵などの主張はもう一度、評価の俎上にのせる必要がある。わが国においても、民営化によって失われたもの、得られたものの再評価の時である。

2025年8月13日 記