新しい意欲で
6月になって緑も濃くなり、ほどよい気温で何をするにも快適な季節になりました。
聖学院小の剣道クラブの指導も全生徒の坐禅も人工的な配慮をしない環境ですので、毎回楽しく通っています。
環境が整っていることが学びを始める時には重要です。剣道を例にとりますと、床が凍るほど冷たい3月や4月の初旬に竹刀を持ったり、足の運びを練習することは厳しいことです。
氷のようという例えの通り、とても集中できるものではありません。
練習が行えるどころではありません。禅でも暖房のない講堂で一時間近く座り続けることは寒さが気になって心を落ち着けることは困難です。
そのようなことを考えますと、初心者の入門時期はこの6月頃が最適といえます。
―着手の瞬間(とき)―
現在、武道家、教育者、政治家としての立場から幸田露伴の『努力論』を全訳しています。そのなかで着手の瞬間を歯切れよく決断するべき、と指摘しています。新しい世界に取り組み始める時期が大切といっています。極論すれば、この決断こそが、新しい世界、分野への踏み出しとなります。それには新しい世界に入る必然、必要を自覚していることが前提です。必要を感じているからこそ、一つの趣味、学習を選択しようとしているのです。その思いを果たすためには、小さくはあっても決断しているのです。踏み切っているのです。着手の瞬間は、もとより本人の決意でありますが、弱い人間にとっては自然環境も後押しするのです。
清風、温暖などです。
生命が躍動し、頭脳が活発に働きだした今こそ自分を変える、自分の新しい世界への挑戦の時と思うのです。剣道も坐禅もいま生きている喜びを味わう絶好の時です。
2012年6月15日 記