2021年7月9日加筆掲載

剣道交流

その4

 中村伊三郎範士九段のこと。

 先生をお招きして、私の剣道場で稽古会を催した。

 いつもの皇宮警察師範の白衣姿。日本剣道型の解説は解説書には書かれていない秘訣ばかりであった。その一つは、一本一本の型は一息で打ち切るというもの。小手を太刀と小太刀の十本を打つと汗が出てくるはずで、呼吸法の練習になるとおっしゃった。また木刀で正面の相打ちをしながら鎬の働きを知り、大切さを理解すること。これを続けると切り落としという剣の極意にいたるとも。すべて武道専門学校の教えと言われた。剣道家のこのような教えとは別に今私が趣味にしている俳句についても影響を受けた。いま俳句を楽しむ誰もが持っている歳時記に載っている野風呂という号で掲載されている型は武専の国語の先生で中村先生も俳句を教わっていたとおっしゃる。いま剣道雑誌に私が投句をしているのは先生の影響である。

 先生は全剣連でカーボン竹刀の公式導入の委員をされていて、試験的に使用されていた。初めて使わせていただいて衝撃に強いのに驚いた。学校の剣道授業には折れることもないので適当だと思った。武専の歴史の本も頂戴し、色々と教えをいただいた。剣道の教育には多彩な面があることを再評価した。現在の私の人生の大骨になっている。まさに教育剣道である。

2021年7月6日 記