2015年1月30日掲載

ビルマの内政不安

—少数民族と民主化—

 今年の秋にビルマでは、民主化後はじめての総選挙があります。

 軍事政権から移行したUSDP(連邦団結発展党)とスー・チーさんのNLD(国民民主連盟)の争いとなります。

 この総選挙の時にカギを握るのは、少数民族です。2011年に形式的な民主主義としての総選挙が行われて、元国軍幹部のテイン・セインが大統領に就任しています。武装勢力との停戦交渉をすすめて12年度までに武装勢力のカレン民族同盟(KNU)と停戦し、13年秋には11の武装勢力と和平協議を始めました。ところが政府の軍に不信感を持つ武装勢力は、解除すれば弾圧されるとして交渉がまとまりませんでした。人口の3割にあたる少数民族が停戦交渉に失望してNLDに協力することにでもなるとテイン・セイン政府には不利となります。

 スー・チーさん、NLDの支持がもともと強いビルマでは大きな刺激となります。ビルマは人口の7割がビルマ族、それ以外は130を超す少数民族で構成されています。その中でもカレン族、シャン族、カチン族などが多数を占めますが、宗教もカレン族、カチン族はキリスト教で仏教だけではありません。スー・チーさんもこの秋の総選挙で民主勢力を増大させる意欲ですが、大統領の資格で外国人の親戚がいると不可能という理由で、彼女が大統領になることは妨害されています。2人の息子はイギリス人です。

 テイン・セイン政府は、少数民族との停戦をはかり、総選挙に臨み勝利したいところです。さらに結果に関わらずスー・チーさんの大統領資格を強固に阻止しようとしています。国際世論を背景に資格変更を求める彼女の運動ももう時間がありません。

2015年1月29日 記