2019年5月9日掲載

記者2人を恩赦、ビルマは国際世論に配慮していくべきだ!

—外圧利用のスー・チー氏の民主化戦略の歩み—

 ロイター通信のビルマ人記者2人は、2017年9月にロヒンギャの10人が西部ラカインで殺害された事件を取材していた。同年12月に警察官から不法に機密書類をもらったとして、国家機密法違反で逮捕された。そして2人は1、2審とも禁固7年の有罪判決をうけた。最高裁は今年4月に2人の上告を棄却していた。ここにきて一転して5月7日に大統領権限による恩赦を与え、釈放した。

 これはビルマ民主化の具体的な一歩として評価したい。ビルマへは欧州連合などが、人権問題を理由に特恵関税を剥奪する制裁も考え始めていた時だ。外国からの投資も激減してきていたのに追い打ちをかけていた。ビルマすなわち実質的にスー・チー政権の国際世論への配慮がでてきた結果である。国会議員の4分の1を占める軍部と妥協しつつ、国会運営を余儀なくされる国際派のスー・チー氏にノーベル平和賞返上の国際的な声もあった少数民族問題。これをスー・チー氏は利用したと解釈したい。このような外圧は民主化を進めるスー・チー政権内部の軍部、保守派への切り崩しに役立って、大いに歓迎されるべきである。スー・チー氏の手腕が本格化してきつつあるとみている。

2019年5月8日 記