2014年10月3日掲載
住みよい社会のために
—障害者同士のトラブル—
おぼえていますか。先日、全盲の女子生徒と男性が接触して、男性が怒って生徒を蹴ったという事件です。
その後あまり報じられません。気になっていました。
今日9月29日の新聞報道で、その男性が知的障害者であったといっています。
なぜ報道が途絶えたのかという私の疑問の答えは、障害者同士の事件だったからではないでしょうか。
もし男性が健常者であれば、生徒に対する冷たい仕打ちで社会の関心を引こうとしたかもしれません。
しかし障害者同士となれば話は別です。
なぜなら私たちの社会では障害者と健常者の事件では紋切り型の、健常者の配慮、気配りのなさを指摘する図式が固定しています。しかし障害者同士の事件は、ほとんど未知の関係であったために双方の人権あるいは盲、知的という大きな障害分野の関係などが浮上してきます。
その報じ方に戸惑って報道が尻すぼみになったと私は考えます。
弱い立場、強い立場という対立関係で加害、被害の分かりやすい、しかしきめの粗いものになっていた結果です。社会が複雑になってきたことに応えて、障害者同士、高齢者同士、病人同士といった事件にも禁忌のない対応を報道関係にもとめたいところです。上辺だけの感情、感覚で社会現象が複雑になってきた今日、生じる事件をとりあげるべきではありません。
2014年9月29日 記
