2015年1月16日掲載
宗教問題に深入りしない
—「私はシャルリ」—
テロ事件後の14日に風刺週刊紙「シャルリエブド」は、特別号を発売しました。
一面に預言者ムハンマドが涙を流して「私はシャルリ」と書いた紙を広げている絵を掲載しています。見出しは「すべて許される」としています。
テロ事件で、本社が使用不能となったため仏紙リベラシオンの社屋を提供されています。通常6万部といわれた発行部数を500万部にしてフランス語、イタリア語などで発行、販売し、英語、スペイン語などに翻訳した電子版も発行しています。
ここではイスラム教という宗教とテロ事件を明確に切り離して考えなければならない、ということです。前回に触れましたが、宗教問題は、禁忌すなわちタブー、触れずにおくべき課題について理解することです。たとえば日本にはじめてきた外国人が、畳を敷いてある部屋に靴を履いたまま入ることはあってはならない禁忌です。
ある宗教が教主を風刺することを禁じていれば、その世界が解禁するまでは他国は禁忌とするべきです。
ある標準が大半の国際国家にあるとしても、それを強制することがあってはなりません。標準が強引な権力となって強制にまで育っていくことが危惧されます。
あくまで宗教とテロ事件、テロとは峻別されなければなりません。
いまイスラム教徒をこれ以上刺激せずに、時間をかけて冷静さを取り戻させるとともに、「イスラム国」などと混同した批判は断じて行なってはならないのです。宗教には不介入です。
2015年1月15日 記
