2015年2月22日掲載

あれよあれよという間に…!?

—なんでも規制緩和すればよいのか—

 酒を飲んだ人が車を運転することはできません。しかし飲みたい、酒業者も売りたい。この二つの「たい」が合意して、ノンアルコール飲料品が生まれました。

 もともとアルコールをこのように扱いたい人々によって望まれたノンアルコール製品です。酒でない酒ということです。

 このまま酒としておけばよかったのですが、どういうわけか業者はトクホ表示すなわち特定保健食品の表示も欲しくなったということです。

 今度は酒ではない健保食品という表示を欲しくなった業者が消費者庁に申請してしまいました。消費者庁は消費者委員会に諮問していて「不適切」と答申していました。

 それを消費者庁が2月18日に許可するとして答申を覆しました。

 そもそも特定保健食品とは科学的根拠があって健康維持、増進の効果があると認められる食品です。事業者が申請し、内閣府の消費者委員会が審議して消費者庁が許可する仕組みです。健康不安の時代に健康食品のまがい物を防ぐためでもあります。

 酒造会社、小売業者は2012年に「ノンアルコール飲料は成人の飲用を想定している」として、20歳以上が対象であると商品に表示し、販売時に年齢確認することを決めています。

 こうなりますと酒の飲み心地で健康食品であるという食品、都合のよい食品が許可されたことになります。そうなりますと20歳以上の表示、年齢確認も不必要になります。

 これまでの制約が取り払われて自由になりますが、20歳以下の高校生から小学生、幼稚園までジュースと同じように買って飲めるようになります。

 今度の許可は2製品ですが、2つともビール風のものです。

 消費者委員会は去年の8月に未成年者が健康によいということで飲むことから飲酒習慣につながると指摘していました。

 清涼飲料水とは違う棚に置くなどの条件をつけてはいますが、会計する時は自由ですから、何の意味もなくなります。今回の許可はどうしても安倍政権の経済優先、旧体制打破という乱暴な姿勢の現れであると見るのは、うがちすぎでしょうか。

2015年2月20日 記