2015年3月1日掲載
飴と鞭の18才選挙権と成人年齢の引き下げ
—ほんとうに必要なのか—
選挙投票権の年齢を「18才」以上にする公選法改定案が今の国会で成立する見通しです。上川法務大臣は「民法の成人年齢を一致させるように課題を検討したい」と発言しています。
まず18才選挙権です。
参院の憲法調査会が2009年に発表した「選挙権年齢及び民法の成年年齢の引下げ問題」によりますと196カ国・地域のうち約8割が18才以上で投票権を与えていて「国際標準であるとも言える」としています。
しかしその先の「引下げ問題」で引き下げられていない理由を次のように分析しています。
1.兵役義務または志願年齢に合わせた。
2.心身が成熟した。
3.若者が要望した。
としています。
ではわが国ではどうかと考えます。1には当てはまりません。2についても身はともかく心はどうでしょうか。幼稚化しているという調査もあります。
そもそも選挙権、成人年齢を引下げるきっかけとなった国民投票法案は2006年の通常国会に自公与党と民主党がそれぞれ提出し、18才以上を提案したのは民主党でした。民主党は若者の支持を当時も集め新奇さを訴えたのです。
自民党には反対もありましたが、歩み寄りました。要するに支持、票のために若者に媚を売ったようなものです。深く考えたとはいえません。
法務省から言わせると2009年の法制審議会の民法上の成人年齢を「18才以上に引下げるのが適当」と答申していることから「あらためて答申を得る必要はない」としています。
ところが同じ答申では悪徳商法による消費者被害の拡大が指摘されました。未成年者が不必要な高額な契約を結んだ時は契約を取り消せます。成人年齢を引下げるとこれができなくなります。自立困難な若者への手助けが打ちとめられる可能性があります。
法務省は選挙権が引き下げられることから、若者の自覚が高まり、大人も若者を認めて国民の意識が変わると見ています。しかし先に見たように諸外国では兵役の義務と抱き合わせで投票権の権利を与えています。日本には兵役はありません。さらに民法、少年法は少年の保護という点から作られています。何よりも若者の成熟度が現代、今日に以前より進んだとはいえません。
毎年続く1月の成人式の不正常さは18才に成人を引下げることの乱暴さを指摘しています。18才引下げの前に、教育を再組織化すること優先されます。
18才引下げを急ぐことで、また問題を抱えることになり、国家、社会を混乱させる原因を作ることになります。
2015年2月27日 記
