2015年12月30日掲載

日本語を死語にしないために

 さっそく質問です。世界で一番短い会話は何か。日本では。分かりますか。世界では「?」と「!」です。これは私の訳した『オックスフォード引用句辞典』にも載っていません。

 答えはビクトル・ユーゴーが、出版社に出した手紙とその答えです。

 ユーゴーから本は売れているか、の「?」。出版社からすごく売れている、の「!」の交換でした。日本では「ドサ」、「ユサ」です。東北地方の雪深いところでは言葉を短く使います。「どこさ行くのか」を「ドサ」、「湯に行くさ」を「ユサ」と言います。

 こんな省略は郷土色があって大変好ましいものです。

 しかし最近の短縮形表示は困りものです。表現の自由といえばすべて通じる現代ですから、興味本位にテレビか週刊誌で誰かが使えば、新しもの探しのマスコミはすぐに解説入りで流し始めます。

 それを知らないと時代遅れに取り残される不安で使い始める。という仕組みです。流行です。今年の流行語大賞など何の意味もないのに騒ぐ理由づけに大騒ぎします。日本語が話せない、書けいない日本人が増えています。自由社会は認めますが、目先の流行を作り出し、それで生活する人人に乗せられて自分を見失う人がいます。それにはかつての日本、日本人の重重しさ、慎重さを取り戻さなければなりません。表現の自由は無責任に日本語を短くして表意を表音にして楽しむことではありません。

 こんな中で英語を必修にすれば日本語は完全に死語になります。

2015年12月25日 記