2016年11月22日掲載

米大統領選結果を冷静に!!

—マスコミ予想の外れと世論(せろん)—

 史上はじめての下劣な大統領選の結果が、私たちをうろたえさせています。

 今回の選挙は世界の指導国としての米国が衰退している証しとして特記されるべきものです。暴露合戦し、事実としてトランプ、クリントンの大統領選らしからぬ人格とふるまい。かつての大統領候補には見られぬことでした。スキャンダルとしては、ニクソンのウォーターゲート事件などがかつてありました。

 このような人物同士のはらわたをむき出しにしての中傷合戦を、沈みかけた大国アメリカの実像と私は見ました。

—世論(せろん)調査のいいかげんさ—

 さて選挙結果です。大きい国土の米国では世論(せろん)が予想に欠かせません。またこれが世論を作るという循環になっています。この世論調査は選挙の直前まで、ワシントン・ポスト社を除いて、クリントン有利という予想でした。

 その流れで日本の新聞、テレビもクリントン有利ということでした。

 しかし結果では見事に外れました。マスコミは外れた理由を明らかにはしません。それは自分の情勢分析が正しくなかったことを証明するからです。

 すぐに次の話題、訪米した安倍首相とトランプ氏の会談に報道は集中してしまいました。

—マスコミよりも自分の考え—

 日本のマスコミはアメリカの受け売りで、独自の調査情報を持ちません。これは論外として、アメリカのマスコミ情報の外れは、アメリカ社会の変容を見逃したか、見誤ったことになります。1930年代に政治学者のC.E.メリアムたちのシカゴ学派が、世論、棄権などを提唱して、アメリカの世論調査は、一定の確率を保障してきました。しかしそれも今回の大統領選挙では機能しなかったのです。世論(せろん)調査に現れない世論(せろん)があったのです。これは今年の英国の国民投票でもマスコミ予想が外れていますから世界的な傾向といえます。

2016年11月19日 記