2019年7月4日掲載

衣食足りて危険薬物使用増える!

—モッタイナイ運動はどこに消えた—

 人は美食や贅沢な生活に狎(な)れると、元へは戻れないものらしい。

 一時、モータイさんのモッタイナイ運動が話題になった。マスコミが大騒ぎして取り上げただけで、実行している人はどれほどいるだろう。有名ブランドを高価で買い、身につけて宣伝してやっていることに気づいているのだろうか。喉元過ぎれば、なんとやら、である。大事故があれば、すぐ国は全国総点検運動を展開して、国民もまた自分たちを緊張させるが、しばらくして、もとに復する。何万年も繰り返す海の波のようなものだ。

—自制、抑制出来ないのが人間—

 少しでも改善、暮らしやすく健康に生きようとしたら、無駄や不合理はなくしていかなければならない。人間の歴史は少しずつでもそれを実行してきた。すなわち、飢餓、人身売買などの克服がそれだ。食料品の開発や人権思想が役立った結果だ。

 世界は一日の水の確保に2、3時間歩いて取水するのを、当たり前としている国々がまだある。そして担い手の多くは子どもで、学校に行く時間がない。水、食糧が不足し、衛生事情が悪い国々がある。私たちの想像力を働かせると贅沢や無駄はありえない。だが現実は楽しく安易な生活に浸る。我慢や辛抱より快楽、豊満が明るいので誰もがそちらの道を取る。

—中学生に大麻容認が増える—

 国立精神衛生センターが、2年ごとに実施している薬物乱用に関する昨年の調査がこの6月28日までに明らかになった。大麻、覚せい剤、危険ドラッグの使用を「構わない」と答えた中学生が増えていることが明らかになった。特に大麻は1.5%から1.9%と増えている。回答した中学生約7万人のうち、大麻、覚せい剤の「使用経験がある」は0.3%、「入手出来る」と回答したのは8%もあった。水くみをしなくてもよい中学生に薬物悪用の傾向が増えてきている。物事の道理よりも即物的な豊かさを重視する社会の落とし穴である。保護される立場の中学生が手を染めやすいインターネットを利用しての入手が考えられ、この数字以上に現実はすすんでいると思われる。物の贅沢さの次は精神や心の歪みに繋がる薬物問題が、判断力の充分でない青少年を犯しつつある。

2019年6月30日 記