2019年7月31日掲載

しばらく芸能界のことは静観

—魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界—

 今、「わぎもこ」という言葉は日常使われない和語である。人、特に神や上位の人の前で踊りや歌などでご機嫌を伺う職業で、古くからわが国にある歌舞伎、歌謡、猿回しなどに用いられてきた。数回、このホームページでも論じてきた。

 現代の会社、学校などの組織と違って、その世界の頂上にいる人物の影響が絶対権力となる。きれいごとが通じない社会である。

—かつてビートたけし、海老蔵も暴力行為を—

 その業界で人気を博しているビートたけしや元の市川海老蔵が暴力を振るって社会問題になったことは、いまではもう口の端にのぼらない。そして今回のジャニーズ事務所、吉本興業の内紛である。一般社会では訴訟になる労働基準法を守っている芸能事務所や芸人はいるのだろうか。そんな環境が整っていなくても、有名になって人前に取り上げられることに満足する人間が芸能界に入ってくる。従って芸能団体、事務所は力関係では上位にあって、芸人はいつも事務所の顔色をうかがう。事務所はテレビ局などに斡旋して、給料から営業経費を吸い上げる。有名になるまでの売り出し中は、人間扱いされないのが普通で、成功した芸人の随筆にはその有様が必ず出てくる。そこに鬱屈(うっくつ)した精神が生まれる。成功して見返してやる!という歪んだ思想だ。かつてのたけし、海老蔵の事件を言う人はいない。しかし一般人だと一生涯、前科者というレッテルが付いて回る。一般社会人もはなから芸人を蔑視しているからなのだろう。

—芸能人、芸人をみる目—

 別に差別するわけではない。芸能人と私たちに差別があってはならない。ただ、いまテレビやラジオに出てくる芸人の言葉使いの汚さは子どもたちに影響してきている。攻撃的な言葉使いが際立って増えている。腐れ縁で視聴率が下がらずに汚い言葉を使う番組が残っているということは、スポンサーが会社の売り上げにつながっていると思うからである。番組の視聴率が上がるということは、芸人が認められ、真似をする人間がでてくる。スポンサーも金を出す、という連環になる。よい連環か、悪い連環か、という時、乱暴で汚い言葉、行為で注目する方に軍配があがると、今回の芸能界事件のように負の連環となるのだ。まさに金色に輝くその内部は、石川達三の『金環蝕』である。芸能界、芸人は憧れの対照ではなく、不条理で非論理の社会で、常識を重んじる私たちの近づくところではないことを、このホームページに何度か書いてきた。もうしばらくは触れず、マスコミなど芸能界と一体の批判勢力がどう報ずるのか注目し、私は静観する。

2019年7月26日 記