2019年10月7日掲載

誘致につきまとう黒い影

—計画の裏を読む眼力—

 なにもない原野にある建物を建てようとする人がいる。勿論、目的があるから建てる。その目的を達成するために周辺住民や行政の了解が必要となる。法律では禁止されていない建物であっても、円満をもとめて色々な手段を建て主は考える。迷惑な施設ではないことは勿論、地域にお金が落ちて雇用も安定し税収もある、などを説明する。住民も自治体も歓迎する。これは普通一般のこと。

—原発、IR(公的賭博)誘致の政治の影—

 福井県の美浜原発にかかわる地方官僚の金づくめの腐敗行為、横浜市長の前言をひるがえしてのIR誘致歓迎。まず美浜原発の力関係が逆転している。今考えれば原発は国民から棄否される施設。電力会社が金をばらまくのならわかる。それが逆で官僚から電力会社役員が換算して数億円を受領していた。

 政府と電力会社の言う「夢の、未来のエネルギー施設、原発」と、売り込んだ宣伝にうまく乗せられた地方自治体の中には、もみ手で誘致したところもあった。そんな原発環境がいまだに福井県美浜市にはあったのだ。横浜市は少し様子が違う。女性市長の変心に驚くのは、女性は嘘をつかないし、賭博には反対だ、という固定感覚があったかもしれない。これからは女性も嘘をつき、賭博を誘致する先頭に立つことを記憶しよう。問題は、動機それぞれは正常性を主張してもそれにまつわる環境があることだ。

—国民を脅かし国を危うくする—

 福島の原発事故は、原発は危険施設であると国民に自ら証拠を提出した。でもまだ国は廃絶とは断言していない。不気味さが残る。IRは自治体に金が入り、地域が潤うというまやかしの歓迎論で幅をきかせている。いまでもパチンコによる家庭の分裂が言われている。それに加えて公認賭博場が出来れば青少年への影響をふくめ、予期せぬ害毒が広がるだろう。いま話題が高まりつつある東京オリンピック騒動も、誘致にからむ金銭問題で責任者が辞めたまま、忘れ去られようとしている。あえて言えば派手で耳ざわりのよい話には毒があるということだ。

2019年10月6日 記