2020年6月20日掲載

餓死した検事を笑うのか

 こんな話を聞いたことがあるだろうか.戦後、ヤミ米の時代ある検事は、違法なコメは食べない、といって栄養不良で死んだ。この話を聞いてどう思うだろうか。応用の利かないバカな人というか、仕事に忠実な人と見るか。私は後者である。範を垂れる、という言葉があるが、手本というか模範というか先に立つ者はそうなければ世の中は治まらない。まして法律家となれば人の欲望に制限を加える仕事だけに、自分に厳しくなければならない。今回の黒川検事長の事件は、法律に携わる人間として最低の態度であった。安倍総理から話があっても断ればよかったのだ。この瞬間に政治に利用されない三権分立が実行されたのだ。黒川検事長は安倍総理に盾をついて、ヤミ米を食わずに死んだ先輩検事の爪の垢を煎じて飲んだ良識ある検事として名を残すことができただろうに残念である。

2020年6月 記