2021年5月17日掲載

指導者の真贋を見抜け

 なんということか。製薬会社の社長夫婦が町にねじ込んだリ、地方の政治家が住民より先にワクチンを打ったり、日本の指導者の心構えに落胆した。

 アメリカにこんな言葉がある。アフター・ユー、フォロー・ミーという。楽しいことはあなたが先に、危険なことは私が先というものだ。指導者の心構えとして大切にしてきた。

 今の政治家の多くはこの精神を知ろうともせず、ひたすら選挙の売名に奔走している。

 有権者にも責任はある。人を見る眼力がないのだ。当選しようとする人間は、犯罪に問われない限りの嘘、擬態を装う。これの真贋を見抜く目だ。そんなに難しいことではない。八百屋、魚屋で品物の鮮度、栄養状態を見抜いて買っている日常の知恵を生かせばよいのだ。

 当選したければ手練手管を用いて同情を買おうとする。地縁、血縁に縛られる愚を克服することが大切だ。政治家がまず自らの安全を図るという「わたくし優先」がいかに広がっていたかを、コロナを通じて知った。本物の政治家とはどんな姿勢、行動をとるのかを身に染みて記憶しておくべきである。木が浮き、石が沈む原理を理解するのは3歳の子供でもできる。よい教訓にしたいものだ。

2021年5月14日 記