2023年1月31日掲載

最近気になる事ども

—お笑いの流行は、日本の文化にとっては考え物だ—

 かつてこの欄にも書いたが、人気番組の「笑点」のまとめ役であった故桂歌丸さんを若手が「骸骨、影が薄い」とか聞くに堪えない茶化し方をした。まして日曜日の子どもも見られる時間帯であった。これが子どものいじめに影響しないわけはない。誰かを得物にしてからかい、笑いものにするわけだ。いじめられて自殺した子どももいる。笑いの利点ももちろんある。だが、テレビで熱い湯槽に飛び込み、どれほど我慢できるかなどを見て笑うなどということが笑いといえるのだろうか。質の悪い加虐的な趣味といえよう。テレビで見せるような娯楽ではない。

—あらゆる笑いは無条件に受け入れられるわけではない—

 NHKなどの番組の司会にもお笑いの人間が出ている。出て悪いとは言わない。だが、NHKのアナウンサーは自分たちの仕事に自信をもっていないのだろうか。民放も言うまでもない。芸人たちの言葉づかいの乱れは世紀末である。安易な方向に行くことが流行の本質であるから、道徳を求めはしない。しかしながら相手の心を考えず、高笑いをしたり、嘲笑、冷笑などで人の感情の機微を逆なですることが、明るい愉快な社会であるとする、いまのテレビをはじめとする娯楽のあり方に大いに疑問を感じている。笑いがあらゆる場面で認められる生活の憩いの手段であるという短絡に、そろそろ私たちは気付くべきではないか。

2023年1月27日 記