2019年5月24日掲載

不可思議な公明党の動き

—選挙フォースト政党の馬脚を現す—

 先月、大阪府、大阪市の知事、市長の選挙があった。現職の府と市の長が入れ代わるダブル選挙。これは奇策であった。公明党は、この選挙が問うた大阪都構想に反対の立場で、推進する大阪維新の会と争った。その結果は両選挙とも敗北。都構想は住民のためにならない、という理由で反対にまわったのだ。それから1か月経って何が公明党内で起こったのか。自民党・政府が、会期末に内閣不信任案が出たら衆参同日選挙
もある、と言い出したからと思える。同日選挙と菅官房長官が明言した、と同時にこのところ新聞社などの世論調査も安倍内閣支持率増を伝えている。

—選挙に準備が必要な政党—

 よく巷に伝わってくるのは、公明党は衆参同時選挙を嫌う。それは準備が間に合わないからだという。

 どこの政党も準備をしないで選挙をしたくはない。だが公明党は、特にそれを言う。支持母体の宗教団体の一人一人に徹底するのに集会などを重ねる時間が必要だという噂もある。まして今回の大阪の場合、維新の会の松井代表は、大阪・近畿の公明党の7つの現職席に対抗候補者を出す、と明言していた。そうなると公明党の議席を守れるのか、という不安もある。何しろ、府、市の首長は維新。ダブル選挙の準備不足もあるが、劣勢となった7選挙区の確保も難しくなるとすれば、都構想との妥協を選択した、ということであろう。

—選挙不敗神話の綻びが出始める—

 公明党は選挙では候補者がほぼ同数の票で並び上位当選をする。それは事前の票割りが徹底するからだ。そして地方選、国政選共に必勝という神話があった。しかしここにきて地方選では神話が崩れる場面が出てきた。神話の崩壊は母体の宗教への信頼も崩れる。必勝は政界進出の条件である。これが維持出来なければ元も子もなくなる。強力な指導力で守られてきた組織が、自由社会でどれだけ耐えられるのか、注目したい。未確認飛行物体(U.F.O.)がしばしば話題になる。このたびの政党の動きはこれとは違う。なぜなら動き回る物体は確認できるのである。ただ飛行していく先は未確認であることには間違いない。

2019年5月22日 記