2019年6月11日掲載

北朝鮮情報の危うさ

—基本とする情報管理が疎い—

 北朝鮮の情報をわが国は韓国に依存している。日韓が合意した従軍慰安婦問題を、政権が変わったからもう一度白紙に戻すような韓国の文政権の態度は、国家と立場を使い分けている。国情があるとはいえ、国の信頼は保てない。その国が伝えた5月31日の韓国紙、朝鮮日報は米朝会談の担当者金華哲氏を銃殺刑に処し、別の金英哲氏は強制労働を課したと報じた。すぐさまわが国の情報機関は出どころを特定しながらそのまま伝えている。そして6月3日、北朝鮮の朝鮮中央通信は金英哲氏が公の場に出席している映像を流している。両者を取り違えて韓国は情報を流し、それをわが国はそのまま国民に流したということだ。

—粗末な外交情報—

 安倍政権は、拉致問題や核開発問題に関して北朝鮮には神経をとがらせるが、このような基本情報は韓国経由で伝わり鵜呑みにしている様子がはっきりした。心配なのは他の問題で主張しあう外交にあって、独自の情報を得る術がないことを諸外国に見透かされることだ。公の国家間の情報、民間、NPOの関係など複層した情報収集の重みが問われている。今回の北朝鮮情報の韓国経由の問題は、わが国の情報外交の薄さを暴露したものである。もとよりテレビなど速報性のメディアのお粗末はいうまでもない。

2019年6月6日 記