2019年7月16日掲載

選挙にこんなことまでやるか。参院選の買収行為?

—安倍首相のハンセン病家族裁判の控訴見送り—

 国家ぐるみの犯罪。不確定な根拠で隔離して生活させ、生殖器の断種手術まで行ったハンセン病の忌まわしい事件は、医学界はもとより国の厚生行政の一大汚点である。まず東京大学をはじめ権威づけてハンセン病を伝染する病であるとした誤りを謝罪するべきである。次にその資料を事実とした行政の罪がある。7月12日、政府は首相談話、政府声明を発表した。熊本地裁の国の賠償命令に従って控訴しないものだ。

—なぜこの選挙の最中に—

 7月21日の投票まで参院選の活動は続く。選挙を意識して、選挙を有利に運ぶための控訴見送りである。2001年に熊本地裁の患者本人への賠償を小泉総理が控訴を見送っている。それの家族版である。問題はなぜこの時期か、ということだ。6月に熊本地裁は国の責任を認めた。540数人に計3億7000万円、一人当たり33万円〜43万円の賠償金である。公金をつかった選挙の買収にはならないのか。12日の声明が参院選の有利に働くことで安倍政権の宣伝となり、選挙の得票につながる可能性が強いからである。なぜ以前に同じ控訴見送りを決断しなかったのか。裁判の決定権を持つ首相の思惑をたっぷりと含んだ見送りである。これが許されれば、懸案の課題を選挙直前、あるいは選挙最中に解決させ、票につなげることも可能となる。司法を行政が悪用する稀代な選挙違反と私は思う。大問題である。安倍首相の政治決断などと手柄、美談にしてはならない。

2019年7月13日 記