2019年7月17日掲載
ハンセン病家族の国の賠償制度の選挙利用2
—安倍首相の地位利用—
かつて国家賠償裁判に首相が政治決断をした例はある。07年の福田康夫首相のC型肝炎訴訟の患者を会員救済する表明と08年和解、給付金を決めた。ハンセン病訴訟では01年の小泉純一郎首相が元患者への賠償金制度を創設した。どれも選挙期間中などという非常識な手段は取らなかった。権力者の謙虚さのあらわれとも受けとれる。だが今回の安倍首相は先に触れたような背景がある。さらに内容にも課題を残す。
—賠償範囲はどうするのか—
6月28日熊本地裁は、01年の熊本地裁判決から、家族への偏見差別への不利益は大きくない、として、以降被害を訴えた20人の請求を棄却している。これを安倍談話では認めることになる。地裁判決を安倍首相の政治判断がくつがえすことに世間が同意するのか。法理と感情をどう処理するのか。国民と政府に強く課題はのしかかる。安倍首相の地位利用と選挙買収の疑惑は残る。
2019年7月14日 記