2020年4月24日掲載、2020年5月5日訂正

羹(あつもの)に懲りて、膾(なます)を吹くときは今

 新型コロナウイルス感染拡大の危険な中だらこそ考えたいことがある。

このほど政府の中央防災会議が発表した富士山噴火の被害予想である。1707年の宝暦地震と同様規模の地震が起きた場合を想定している。都心には火山灰が10センチ積もるという。

 その状態を考えると関東を中心とは言っても、東京はどうなるのか。人、物、金という資源が高密度に集積している。そこに除去には難しい火山灰が降る。道路は機能しない、鉄道は止まる、人は吸い込めば肺が詰まる町全体が死んでしまう。今回のコロナウイルスほど時間はない。

 東京に屋根や蓋はできない。しかし東京都の小池知事はこの激甚災害の逆をやっている。国際都市東京の美酒に酔って国際金融都市になろうとして各国に働きかけをしているという。私が現役都議の時に、田中角栄総理の日本列島改造論の下書きをした下河辺淳氏と、「首都機能移転をするために国も都も協議するべきだ」ということで気が合った。当時(おそらく今も)、都議会議員で首都機能移転論を支持するのは私だけであった。石原知事は勿論のこと全会派が反対であった。都民、国民の命を守るべき議員や知事が目を向けない偏狭にあきれた。

 このたびの中央防災会議発表の予想について、議員や知事は真剣に考える機会を作ってほしい。また知恵のある都民、国民は、今のコロナウイルスの歴史的災害から東京に首都機能を集中させる怖さを学び、機能分散、移転を考える機会につなげることが大切だと考えてほしい。もうあまり時間はない。300年以上富士山が噴火せずに静かにしていた歴史はなかったと会議は指摘している。

2020年4月23日 記