2020年5月22日掲載

人を食った話だ

 安倍総理、安倍政権がむきになって検事総長に仕立てようとしていた黒川検事長なる男のことである。結局は見送ったのだがその裏は、黒川検事長の賭けマージャンが原因だったというお粗末な結果の種明かしとなるのだ。週刊誌に報じられると決まったからである。

 ここで二つのお粗末を指摘する。一つは安倍総理、安倍政権のお粗末具合の底が割れたということだ。検察行政の根幹を変える定年延長が、この男の賭博法違反によって破綻したことだ。この程度の人間を、検察のトツプに無理やり据えようとする常識の無さにあきれる。

もう安倍政権には、一般常識の高校試験も正解を書く能力がないことが明らかになった。

二つ目は正義の擁護者たる検察官も信じられないと言うことだ。黒川とあえて呼びつけにするのは、賭けマージャンは賭博で取り締まりの対象である犯罪だからである。もう容疑者と言ってよい。

懲戒免職が相当

 かつて黒川の先輩たちは「巨悪は眠らせない」と言って秋霜烈日の記章の通り正義を貫いた。だから先輩たちは彼の辞任を求める署名までしているのだ。これらは政治それもみんな安倍、安倍政権に関わる人を食った話である。政治を私物化するのもいい加減にしろ、と言いたい。あきれてものが言えない。賭けマージャンの容疑で、身内であっても検察が捜査に着手するかどうか見ものである。検察にしてみれば、相手が検察幹部の検事であればこそ厳しく国民に手本を見せる公正な日ごろの検察行政の姿勢を示す好機である。黒川の処遇は、職務に照らして懲罰の意味を含めて、退職金の出ない懲戒免職が相当である。

2020年5月21日 記