2020年11月27日掲載

嘘つきは辞職の始まり

 政治家には正直が求められる。それはその場しのぎで済まされない事実を扱う仕事だからである。だが多くの政治家は嘘を言う。正直に言うと相手を傷つけることになるから婉曲に言うという、文化の持つやさしさのせいでもある。医者にも正直が求められる。それは患者を慰めることと真実は違うからである。言い回しはともかく正直の頭に神宿る、である。

 安倍前首相の桜を見る会の前夜祭のホテル代の買収事件は、安倍前総理が国会で、「無い」と言っていた経理書類をホテルは出していることがはっきりした。800万円を超す安倍氏側のもちだしである、という。国会でのウソ、虚偽答弁は改めて、証人として国会で答弁が要求されなければならない。安倍氏が現職の総理の時、健康状態で辞任した時の取り巻きの若手代議士、下村、世耕、甘利などは再起を期して雪辱を誓った。マスコミも安倍晋太郎元外相の遺児であり、志なかばで政権を去った悲運の安倍晋三をかばって盛り上げた。本人の公職にいる責任感の欠如はもとより、周囲の甘やかしが今回のウソを生み出す原因である。黒を白といってきた罪は、ごめんなさいでは済まない。国会を威厳のあるものにしておくには、安倍氏がその威厳に謝罪して潔く辞職することである。それほどこの問題は深刻に考えるべきである。安倍氏は日本の美を説いてきた。教科書の採用にも影響を与えてきたようだ。そうなれば自らのあるべき姿は自ら判断すべきである。

 大相撲の二人の横綱が三場所連続でそろって休場しても、居座る見苦しさと同格の有様である。

 「嘘つきは泥棒の始まり」と、安倍氏も一度は子供の頃、耳にしたであろうに。

2020年11月25日 記