2021年6月28日掲載

西村宮内庁長官の問題発言

 6月24日の西村長官の記者会見の発言は「天皇の政治発言」を類推する事態にならないのか。天皇陛下による政治的な発言は憲法の象徴という立場からあり得ない。

 24日の長官発言では、「天皇陛下は、五輪開催でコロナの感染拡大にならないか心配していると長官が「拝察」している」という内容のものである。政治家の菅総理、小池都知事が開催に躍起になっている時に、あたかも取りやめ、あるいは延期を求めているように読み取れるこの長官会見は物議をかもすに違いない政治発言と言えよう。天皇陛下の考え、意見を拝察するという長官の推量を述べているように見えるが、その先に透けて見えるものは天皇陛下のご意見である。

 ここまで踏み込んで東京オリンピック・パラリンピックを評価する長官発言は、天皇陛下の政治発言と取りあげる政党、団体が出てくるに違いない。今上天皇のお考え、西村長官の表現の有り様などが天皇と政治の関りとして大問題になろう。

 いま開催日から1か月を切り、世論は開催に批判的になりつつある中で長官発言は開催に固執する菅総理、小池知事と真っ向からぶつかる。この会見は予想以上の波紋を呼ぶだろう、少なくとも宮内庁長官の辞任は必定となろう。

2021年6月24日 記