2021年7月8日掲載

擬態が得意な小池知事とそれを許すマスコミ

 7月4日の投票日の直前まで、病名も明らかにせず入院していたという小池知事。投票日前日に自分が顧問をしている会派を回った、と言う。

 マスコミという新聞やテレビも、病名や健康状態を正しく伝えるべき事を伝えていない。ここにはすでに小池知事の選挙戦略を読み取って、あえて伝えない新聞などマスコミの思い上がりが垣間見える。そんなわかりきっている子供じみたことが書けるか、報道出来るかという思い上がりだ。かつて先ごろ亡くなった立花隆さんが「田中角栄の研究」を書いた時に田中番の記者はなんといったか。あんなことは側にいてみんな知っている、いまさら… と軽蔑してみていた。ところが内閣が倒れ、田中失墜のきかっけになる大スクープになった。マスコミの尊大さが反省されたものだ。今回も同様なものを感じる。

 その場に浸りきり、平衡感覚をなくしたマスコミの態度である。小池知事はタマムシや動物が習性として自己保身のために使う擬態を演じたのだ。まず都民に過労という同情、次に休養という不安、自宅か病院か明らかにしない疑問、病名を明かさない不信という複雑な関心を抱かせ、都議選の中心人物である自分の周りに注目を集め投票日の1日前に自分の会派の候補を一回りする。都議会の運営から自民、公明を敵に回すと都政が動かないので、二階自民党幹事長との協調をにおわせる会談を必要に応じて行った。安倍政権で隠然とした力をつけた二階にすり寄った。だれも二階に意見が言えない現状では小池都知事にも同様だった。その手の込んだ演出にまんまと踊らされたのがマスコミということだ。前回、4年前の自民党が大敗したテレビの都議選報道の時のジャーナリストの池上彰氏の態度を思い出す。開票特集の場で、当時都議会のドンと言われ都政に隠然たる力をもっていた内田茂都連幹事長に「あなたは都議会のドンと言われているが…」と都議会のこれからの運営をただしていた。この姿勢こそマスコミのものだろう。小池知事の擬態を暴くどころか、翻弄される始末のマスコミは田中角栄の時から少しの反省も改心もなく過ごして来たということだ。驕るなマスコミ! 立花さんの爪の垢でも飲んで出直すべきだ。

2021年7月7日 記