2021年7月9日掲載

未熟な政治風土

 2019年の参議院広島選挙区の買収事件で、河井克行元法相と元参院議員の妻安里の選挙で、約100人に被買収容疑で市民団体から告発状が地検に提出されていた。6日までに東京地検は不起訴とした。その理由が驚くべきものだった。被買収の地方議員は、国会議員、大臣などという圧力に抵抗出来なかったので起訴出来ないという理由である。買収はする方もされる方も公職選挙法の違反である。される方に罪がないという今回の不起訴理由は、される方の断る意思や見識を認めないほど幼稚な存在ということでもある。被買収の容疑をかけられた中には300万円もの金を受け取ったりしている者もいる。みんな大人だ。

 断る常識も勇気もない多くの地方議員がいたのだ。この人間たちは自分の選挙をどう戦ったのか、買収は当たり前だったのではないのか。そんな政治にまつわる風土がこの広島地方にはあったといえる。今回は選挙という純公的な国民の政治教育の場で、夫婦が政治家で、自民党から特別な資金1億5千万円が出ているという不可解な安倍政権下での選挙である。

 司法が政治に忖度した不起訴という曲げられた司法と、簡単に買収を受け入れる未熟な政治の図式があぶりだされた。まだまだ日本の政治は未熟さから成長出来ないでいる。

2021年7月7日 記