2022年11月13日掲載

人間信頼の社会を創る

 今、シルバー人材センターの仕事である児童館パトロールをやっている。住まいの近くの小学校である。日が短くなった10月から3月までの4時半、5時、5時半、6時と4回、児童を学校から自宅の途中まで送る。日が短くなる10月から3月まで続く。

 時給は1070円。蛍光色のユニホームを着て、帽子をかぶる。片道15分足らずであるが、2時間の防犯活動である。

 行き交う人に「こんばんは、ご苦労様です」と挨拶する。子どもには「車に気を付けて歩道を通って下さい」という。大変気持ちのよい日々の務めである。だが、ユニホームを着ない普段着の時に子どもに挨拶の声をかけても、返事がない場合が多い。考えてみれば、不審な大人、特に男性に対する警戒する学校の教育が徹底しているせいだろう。学校やそのそばには警察、教育委員会などの「いかのおすし」という標語が貼ってある。「いかない、のらない、大声を出す、すぐ逃げる、しらせる」の頭文字を言う。この標語は人を見たら泥棒と思えというのに等しいものだ。誘拐事件、暴力事件などに巻き込まれないための防御策といえる。

 問題は人間、大人を信じることを教えていないことだ。このような社会を変えていかなければ、人間不信の子どもが増えていくのは火を見るよりも明らかである。おなじ街に住んでいる大人を信じられない教育が行われているわけだ。

 人間不信の子どもを育てるのではなく、人間を信頼する子供を育てるために学校、社会が行動を起こす時が来た。たとえば、私が時間を見つけて自分の家の前の道路だけではなく、公園などの掃除をしたり、樹々に水をやったりして自分から少し離れたところに目を向けたりするように活動する。そこで生じる会話などを通じて、子どもたちに人が人と明るく繋がっていることを見てもらうことになる。この積み重ねが小さくとも大きなことにつながることだと思う。大人が子供に信頼される行動を心掛ける、という当たり前の姿勢を積み重ねていくことでしか、解決策は見い出せないのではないか。

2022年11月9日 記