2023年1月23日掲載

防衛一色の世論に断固として抵抗する

 軍事大国のロシア、中国、近国の北朝鮮など我が国を包む国防の気配は濃厚になってきている。目には目を、という一見わかりやすい論理で誰もが頷きやすい。

 このような空気を敏感に掴んだ岸田政権は、防衛費の増額を堂々と言い始めた。現実に流されればこうなる。だが私たちの日本には、憲法という決まりがある。ここでは平和主義という原則があって、世界中の国から日本は戦争の準備をせず、たとえあっても守ることがあって、止むを得ず防衛手段を講ずるというものである。

 そのため、かつて自民党政権の三木内閣で国民総生産の1パーセントの枠内での防衛費計上を決めている。長い間、国の方針であった。世界から高い評価もあった。それを先に述べた海外のきな臭い事情をうけて公然と枠を取り払おうというのだ。

—国の個性、独自性が消える—

 平和主義のわが国の防衛体制を強化し始める方向は、先の安倍政権からあった。国家主義的な、アメリカ・ファーストのトランプ前大統領の後を追う、便乗姿勢である。

 そのあとを岸田政権はもともと、自民党でも護憲の色濃い宮沢派の出であるにもかかわらず、長期にわたる安倍政権の路線を変えられず、国の憲法にたがう路線を、それも国会での議論をせずに方針を打ち出す始末である。野党も抵抗の姿勢を示さない。

—警世者、選良の出現が求められる?—

 これも新聞などの世論調査で、防衛費の増額を聞くと半数以上の回答が是と答えている。世論選挙に慣れてきたからか、輿論を作るという政治の役割を忘れ、ひたすら世論・無責任なその時の感情に基づく意思に流されてしまっている。世論に輿論を突き合わせて考えようとする姿勢がない。誤解を恐れずに言えば、私は新しい憲法を守る警世者、選良の出てくる環境を作り、またそれを生み出そうとする国民の出てくることに期待したい。私自身もその運動をしたい。

2023年1月21日 記