2023年2月19日掲載

黒田日銀総裁の訳の分からない進退

 この4月で日銀の黒田東彦総裁が退任するという。安倍政権の時の10年前に、ひと昔前に就任した時は、2年間で物価を2パーセント上げてデフレを解消する、と言った。強気の安倍政権に応えるかのようであった。

 安倍の長期政権と黒田10年間は符合する。彼のとった策は金融の大規模緩和策で、国が大量に発行する国債を、日銀が買って国内に現金が出回れば、デフレは解消される、というものだった。日銀は国債を買い続けたが、全く物価は上がってこなかった。10年この言葉はむなしかった。

—安倍政権の強引さと同調した黒田総裁—

 ここにきての各団体の値上げは、ロシア・ウクライナ戦争からくる国際供給網の破綻から来るものである。彼の金融政策とは無縁である。10年間惰性で総裁を務めてきたということだ。安倍政権をはじめ岸田政権の長く続けさせてきた政府の理由も明らかではない。もとより岸田政権が辞めさせる黒田総裁の仕事ぶりの総括もなされない。

 今回、辞めさせる理由も定かにされない。ただ長いからだけなのか。闇の中の就任と退任である。後任に日経新聞などは副総裁の雨宮正佳氏を挙げていたが、消えた。彼は黒田路線に批判的であったので、路線を継承するのが前提のような総裁は固辞したという説もある。政府が14日に提案している植田和男は黒田路線を継承するという。それならば今までと同じ黒田総裁でよい。岸田政権も植田総裁も徐々に安倍政権の陰である黒田路線からの脱却が避けられないだろう。

2023年2月15日 記