2015年9月19日掲載
学芸員のひとくち14
文化財専門講義は、日本彫刻史、日本絵画史、日本工芸史と選択できますが、私は日本絵画史を選びました。
中世から近世、近代の絵画を扱います。『源氏物語』と『源氏物語絵巻』の関係。12世紀前半で絵巻は国宝ですが、絵と詞書がそろっているもの、詞書、絵のみのものとあります。絵の特徴、構図を学びます。また国宝の『信貴山縁起絵巻』の模写を元に読みます。上・中・下巻とあり、特に中巻は13メートル近くもあり、エジソンが発明したキノトグラフ(映画)よりも早く12世紀に山崎長者巻で俵が飛ぶところで表現しています。
異時同国法という、同じ絵で動いた場合も現わしています。見事な写実技術に驚きます。鎌倉時代の似顔絵と肖像画の発展。『源頼朝』像が、不正確な説があり『伝 源頼朝像』と教科書で紹介されるようになった経緯も勉強します。
土佐派、狩野派が4〜500年と長く伝統を引き継げた背景、中国から伝来の唐物の技法である山水画との融合など奥の深い日本画です。変体仮名の読み解きも学びます。革紙、絵巻に,詞書されている文字を読めたら外国語を一つ身につけたのと同じです。
2015年9月16日 記