2025年4月19日掲載

大坂・関西万博とイヴェント国家日本の空回り

 4月13日から10月13日まで、大阪・関西万博が始まった。以前から自論である、「イヴェント国家・日本」を痛感して憂いている。政府は何か催しをしないと、国が元気にならない体質でも持っているように思える。私はこの万博に二つの危惧を持っている。

 一つは、東京五輪における電通をはじめとする広告会社、出版会社との奥深い周到な関わりの全貌がまだ明らかにされておらず、深い闇を完全に解明されつくしていない、ということである。何か国家的な行事には必ず裏側で、暗躍する政治力、経済力がある。贈答文化の日常化したアジア特有の賄賂、非正常な取引、関りが生じる素地がある。中国、韓国、タイなどでもよく聞くようだ。

 今回の大坂・関西万博に東京五輪と同じ醜聞がないと言い切れるのか。そしてもう一つ。今回の万博では会場の夢洲が、かつて廃棄物処理場で、ガスが生じる事故もあったいわく付きの場所である。その危険は消えたのか。

統合型リゾート構想のいかがわしさ

 さらに万博後に待っている統合型リゾートという名目のカジノ構想である。五輪よりも前からカジノ構想があったと言われる。いわゆる公認された賭博場が出来るということだ。青少年への教育的な問題、家庭、家族と賭け事の関係、地域の風俗はどうするのか。なんとしても、世界中に我が国の観光を売り出す機会としている。

 万博の前からカジノを中心にした歓楽地帯をつくろうという構想はあったようだ。首都東京が政治、経済の我が国の中心になっていることに、異を唱える形で関西が誘致を主張してきたようだ。政治的にも大阪維新の会が誕生し、国政の力を得て大きなエネルギーとなっているようだ。いうならば、あらゆる日本の構造に二極の発想を持ち込むことを考えているように見える。

 しかし、万博の実情は開館直前でも来館予定者の未達成、パビリオン建設も不完全という有様だ。今わが国はもとより世界中がトランプ税制で悪戦苦闘する中、だれもがパビリオン見物の雰囲気になるだろうか。万博の動向も気になる我が国の責任者たちは、よほどの覚悟でなければこの難事業を貫徹できまい。よもや、万博が終わった結果の罪のなすり合いを、今から考えているわけではないであろうが。

2025年4月13日 記