2015年6月20日掲載

『チャールズ・E・メリアムの教育』の翻訳刊行にむけて

 私にとってのメリアムの第3冊目の翻訳になります。0歳から70歳までのメリアム自身が語る自伝です。実在しないと思われる犬のカルロを使って自身の少年期の心理を語っているところなどは、自省色の強い生活ぶりが窺えます。

 また最晩年の老人ホームでの日程表などからは睡眠を大切にしていることや嗜眠性活動の連続であったことが明らかになります。

 昨年にはメリアムの主な学問の現場であり、現在も政治学のメリアム学派の発生地として評価の高いシカゴ大学の図書館を訪れました。

 図書館に2泊3日で通って、メリアムの大変細かい性格を表す、伝票の一枚一枚を保管してある状況を確認してきました。

 学問、政治、行政との関わりを多忙に生きた学者の「私の履歴書」です。

 表題となっている『メリアムの教育』が学生として机に向かっての学校でのものだけでなく、大学、研究機関などでの実績をもとに語られています。

 市議会議員、市長候補、シカゴ行政での事件がらみの被害など、学者だけでの人生では経験できない感想もあります。

 メリアムのシカゴ大学退任の記念誌を弟子、友人の学者12人でそれぞれの立場で記している『政治の将来』に掲載されています。

 メリアムの内面が表出している貴重な回顧録といえます。

 私が地方議員を続けながら大学で教えてきて、メリアムのとは別な面で政治現場と理論を合一させようと努力、迷ってきただけに親近感を持ってメリアムを傍観してきました。

 その結果が『シカゴ』、『政治変化と政治の役割』の翻訳につながり、今回の『チャールズ・E・メリアムの教育』へと到達します。

 今秋に公刊できるように作業を急いでいます。

2015年6月17日 記