2013年9月14日掲載

安倍政権のあやうさ

—いつまで強気でいられるか、有権者も賢く—

 民主党に向けた失望、それを反射する形で自民党への期待。こんな雰囲気で都議選、参院選が戦われました。失われた年金の回復など自民党政権が、機能しなかった不備を訂正した功績もあります。95%以上が高校進学している時、義務教育が無償であることと比較すれば高校の無償化も当然のことです。
 いろいろ反省があります。しかし、言えることは過剰期待を国民に持たせたことに尽きます。政権を初めて取った高揚感と現実の対応、それができずに墓穴を掘ったということです。
 耳学問、マスコミ誘導による現実のない政権だったということです。
 たとえば政治主導と言って役人に情報を流さず、もらわずという思い上がりなどもそうです。これから元気を出して、もう一度立ち上がることです。
 さて安倍政権のあやうさについて書きます。
 安倍自民党はしきりと選挙中もその後も「ねじれを解消する(した)」と喧伝しています。ねじれが悪いことのように言っています。
 当時のマスコミも「ねじれ解消」と言って煽りたてました。参院選で自公が勝ってねじれが亡くなれば生活はよくなり、国民生活の首を絞めているデフレもなくなると言っていました。
 しかし、これは危険なことです。ねじれが不都合だとすれば一院制にすればよいのです。二院の意見調整を不必要とするならば。しかし、憲法では二院制を前提としても二院の意見が違った場合は「両院議員総会」を開いて話し合うと決められているのです。これまではこれが機能してきていませんでした。政治家がそれを使い切る努力をすればよいのです。そして、何らかの妥協を成立させることが二院制の妙味なのです。
 その努力をする知恵を生かさずに短絡して、衆院は多数で通過させたが参院は多数を取れていないので通過できない。不効率だ、だから衆参院ともに多数を取るのだ、といったのが前回の参院選でした。予算に関係する法案、そうでないものそれぞれ衆参院で異なる議決があっても一定の時間をかけて成立するようになっているのです。衆院の優越性です。
 選挙で勝つ戦法としてねじれ解消と言ったのでしょうが、それにうなずいている国民も少しは仕組みを知った方がよいのです。
 このような詭弁に乗せられるようではまだまだ日本人の政治教育は進んでいません。何よりも投票率の低さもあります。
 有権者は投票率だけを行使するのではなく、政治に参加する義務もあることを知るべきです。国会開設から100年以上経ちました。
 民主主義を勝ちとるために先人がどれほど苦労したか。非合法活動といって不合理な逮捕または不法な取り調べによる死亡などの歴史の上に今日の投票制度があります。
 棄権という怠惰な政治行動は自分の頭に唾を吐きかける愚かな行為です。
 オリンピック招致にかかわって福島第一原発の汚染水処理の確約は国際公約です。
 国内で準備ができていないのに空手形を切ったのです。さて、どうするのか。来年4月からの消費税増税も選挙公約としていただけに実行しなければならないのですが政策顧問の1%ずつ上げるという異論、党内の慎重論もある中でオリンピックの招致を成功させて、国民の心が浮ついている内に増税してしまおうという強気と増税で今のブームに陰りをもたらすかもしれないという警戒心とが渦巻いているように思います。TPPも微妙です。
 政界もマスコミも、3年後の参院選まで国政選挙はない、と言っています。
 一寸先は闇というのが政界の常套句です。
 クワバラ、クワバラ

2013年9月13日 記